私は、専門学校の教員として7年間働いていました。
私立学校の教職員は「国民健康保険」ではなく、「日本私立学校振興・共済事業団」、通称「私学共済」に加入します。
私も加入していましたが、私学共済は他の健康保険に比べて魅力的な点が多くあり、私も多くの恩恵にあずかっていました。
とても助かりました!
この記事では私学共済にどんなメリットがあるか、なるべくわかり易く説明したいと思います。
- 理学療法士15年目
- 養成校 専任教員歴7年
- 臨床現場と教員、両方の経験を持つPT
- 自由なPTの働き方を発信中
私学共済とは?
企業や組織に入社して働きだすと、社会保険に必ず加入する必要があります。
- 一般企業なら全国健康保険協会 ※通称 協会けんぽ
- 自営業なら国民健康保険 ※通称 国民健康保険
- 公務員や私立学校の教職員は共済組合
私学共済は、私立学校で働く教職員や職員のための保険制度です。
公立学校とは異なる雇用条件や給与体系を持つ私立学校において、教職員の福利厚生を支える重要な要素となっています。
私学共済のメリット
私学共済のメリットについて、多くのメリットがありますが、その中でも厳選して4つ紹介します。
結婚手当金が支給される
私学共済に加入している職員が結婚すると、その職員に
80,000円の結婚手当金が支給されます
社会保険において結婚することで支給される手当金があるのは私学共済以外に存在しません。
この結婚手当金、私立大学職員同士の結婚であれば当然2人分の手当が発生するため、
2人合わせて160,000円が支給されることになるのです。
これは豪華な旅行に行ってもお釣りがくる額ですね。
こういった給付金があるのも私学共済の魅力の一つです。
健康保険料率が低い
私学共済の社会保険料は、協会けんぽや国保よりも安いです。
社会保険料は、会社に勤めていれば控除で給与から天引きされるため、負担額は手取りに影響します。
社会保険料が安いということはその分手取りが多くなるということを意味しますので、長期で働けばその差額も相当なものになります。
協会けんぽと比較して約4,500円/月、国保と比較して約1,600円/月安いです。
仮に10年勤めたとすると、協会けんぽとの差は年間で、協会けんぽよりも54万円も多く手取り年収が多い計算になるのです。
傷病手当金が80%支給
病気休業により給与が支払われなくなった際、健保組合より傷病手当金が給付されます。こちらの手当額は、「通常の給与×2/3」と定められています。
しかし、私学共済の場合は、通常の給与の80%まで支給してくれます。
通常の傷病手当金と比較すると、休職期間中の給付が約13%違ってきます。これは大きな違いです。
その他にも貸付金制度や積立共済年金制度など独自の金融制度があったり、出産育児一時金の付加金が高いなどなど、福利厚生制度が非常に充実しています。
積立金の利率が高い
私学共済加入者は積立金の制度を利用して積立貯金が可能です。
利率は、年利0.15%の半年複利です。
2023年8月現在、メガバンクやネット銀行の普通預金で0.1%を超える利率はほぼありません。
一般的な銀行の普通預金はその多くが0.01%以下の利率で運用しているため、私学共済の積立金利率が高いことがお分かりいただけるかと思います。
ただ、銀行に預金しておくだけなら積立貯金に回すのは選択肢の一つとなります。
私学共済のデメリット
次は、私学共済のデメリットについても紹介します。
加入条件の制約
私学共済は、働いていれば誰でも加入できるわけではありません。条件があります。
私学共済事業から、出されている加入条件は以下の通りです。
学校法人等に使用され、報酬を受ける人は私学共済制度の「加入者」となります。個人の意思で加入しなかったり、やめたりすることはできません。
使用される人とは、事実上の雇用関係があり、一定の仕事を担当し、常時一定の勤務時間の拘束を受けている人です。したがって、非常勤・パート・日雇いのような名称の人や試用期間中の人であっても、常用的使用関係にあれば加入者となります。
上記のように条件があります。非常勤の場合など、細かい条件は、私学共済のHPで掲載されています。
端的に言えば、私立学校で雇用され一定時間以上勤務していることが加入の条件となります。
そのため、理学療法士が病院で働いていても加入することはできません。
理学療法士が加入するためには、私立学校に転職する必要があります。
個別のニーズに対応しきれない
私学共済は一括りの保険制度ですので、生命保険、自動車保険、年金保険など、一通り揃ってはいるものの、それらの組み合わせを自由に行えるという事はありません。個別のニーズに完全に対応することは難しい場合があります。各人の家族構成や医療ニーズに応じた保証を求める場合は、個別に保険を検討する必要があります。
正直、これらは大きなデメリットとは言えません。あってないようなデメリットです。
まとめ
私学共済は、私立学校の教職員や職員にとって重要な福利厚生制度で、他の健康保険とは違う魅力的な点が多くあります。
今回紹介した点以外でも、退職金の支給や各種提携施設(ジムやホテルなど)が割引価格で利用できるなど、安心して働くための保障を提供してくれています。
条件として、誰もが加入できるものではないですが、他の健康保険にはない魅力的な点が多いのが私学共済です。
教員への転職を検討している方は、転職するための判断材料として参考にしてもらえると幸いです。